2021年12月9日木曜日

IPO分析(エクサウィザーズ)

 【事業内容】

 (1)AIプラットフォーム事業の概要

 当事業は、個別企業を顧客とし、当社グループのAIプラットフォーム「exaBase」に蓄積されたデータ基盤を用いたコンサルティング、アルゴリズム・ソフトウエア開発を通じて、顧客企業のデジタル・AI戦略やDX等の推進体制の立案・実行及び投資効果の最大化を支援しております。

  当社グループは多種多様なキャリアを経験してきたスタッフが事業運営しており、①様々な企業の経営コンサルティングを行ってきた人材を中心に組成された専任チームによる顧客のビジネスに関する知見、②機械学習エンジニア・ソフトウエアエンジニアによるAI技術に関する高度な知見、③UI・UX・デザインの専門家による顧客に関する深い洞察、④より本質的な課題に迫る上で必須となる事業・業界固有のドメイン知識が豊富な専門家・研究者等を始めとした競争力の高い経営資源を有しています。これらの要素を組み合わせることで、顧客の業務・サービスのあるべき姿の検討、どこで・どのようにAIを活用すれば良いかの検討及びその投資対効果の特定、アルゴリズムの開発や、実際の業務・サービスへの実装と投資対効果の最大化までのプロセスを一貫してサポートすることで、顧客企業のデジタル化・AI活用による成長を実現します。当社グループの事業領域に属するグローバルなコンサルティングファーム、デジタルコンサルティングファーム、BPOs、AIスタートアップ等は、多くの場合それぞれ顧客企業の事業や業務プロセスの一部のみを対象としてデジタル化・AI活用に取り組んでいるため、これらの企業と対比すると、顧客課題により深く接点を持つ当社グループは優位性を保持していると考えております。

 また現在は「exaBase」のユースケースと機能の拡充によるAIプラットフォームとしての価値向上を推進し、PaaS型課金の増大に取り組んでいます。

 当事業は主に大企業に対してサービスを提供しており、銀行、証券、保険、製薬、製造、電力、通信・インフラ、小売消費財、人材、物流、不動産など多様な業界において、190社を超える企業(2021年9月末時点)に対しサービスを提供してまいりました。それぞれの企業が抱える業界固有の課題や、人の手や従来のIT技術では解決し得なかった問題の解決に向けて、コンサルティングやAIアルゴリズム開発、サービス設計、顧客業務プロセスへの実装までの一連のソリューションを提供しております。年間250件以上実施しているプロジェクトを通じ、様々な業界における構造化及び非構造化データが蓄積され、またそれらに基づき発展させた機械学習、自然言語処理、深層学習技術を中心とした高機能なアルゴリズムを保有していることが、当社グループの強みとなります。

 当社グループのAIプラットフォーム事業におけるサービス導入実績のうち、概要を開示可能な案件の一部を下記に記載します。当社グループのコンサルティング、AIエンジニアリング、デザイン、ドメイン知識を高度に組み合わせることで、多様な業種・業種、幅広い業務・サービスの課題解決に向けて、AIを用いたソリューションを実装しております。

・アフラック生命保険

予測分析によるマーケティングの最適化を提供、約1.4兆円ある保険料収入(注10)の更なる拡大に寄与

・第一三共

創薬研究における一連のデータ解析時間を大幅に短縮し、分単位に

・日立金属

対象物の自動認識システム、機器の動作設定時間50%短縮プロジェクトをサポート

・ヤマトホールディングス

貨物の需要予測を提供、社員一人当たり営業収益を高める支援


(2)AIプロダクト事業の概要

 多くの企業に共通した業務課題に向けて、顧客の業務プロセスに簡易に導入・活用可能なAIソフトウエア群を提供しております。当社グループの顧客は自社で新規にAIアルゴリズムを設計・開発することなく、完成度の高いAIを業務において活用することが可能です。

 当社グループでは、AIプラットフォーム事業における顧客企業へのAI導入を通じて、多様なユースケースでのAI導入実績を有しております。これらを通じて、業務・業界ごとのAIの導入余地や導入による影響、開発したAIアルゴリズムの汎用化可能性などを判断する経験と知見を蓄積してきました。この中でより広範に多企業に対して共通して提供可能と判断したAIアルゴリズムについては、周辺機能を作り込むことでソフトウエア化し、AIプロダクトとして継続課金方式等により広範な顧客へ提供しております。当社グループのAIプロダクトのうち、「exaBase 予測・分析」、「exaBase 企業検索」は、このプロセスを通じて開発されたものであり、本書提出日現在それぞれ複数社で導入されております。


<当社グループの特徴と優位性>

① 在籍エンジニア・専門アドバイザーの高い技術力

 機械学習・深層学習領域のアルゴリズム構築技術を有するエンジニアや、顧客が真に使いやすいサービスを提供できるエンジニアは、国内では希少だと考えております。その中で当社グループでは、独自のネットワークから国内外の優秀なエンジニアへアクセスをすることで、過去に他企業でCTO(最高技術責任者)を務めていたような人材が複数在籍しております。また、Facebook AIのディレクターとしてAIの世界的権威であるアロン・ハレヴィ氏をはじめ、AIに関する各領域における国内外の第一線のアカデミアの方々をアドバイザーやサポーターに迎え、当社グループの技術力の基盤を強化しております。


② エンジニアの採用体制

 優秀な機械学習エンジニアが国内で希少である中、当社グループは過去2年間(2019年6月~2021年5月)において5,000人以上の応募者の中から、1,600人強の面接を行い、その中から特に優れた103名を採用するなど、幅広い採用者候補層を開拓しながら厳選した採用を行う体制が整っております。この結果、世界最大級のビジネス特化型SNSを提供するLinkedIn Corporationのデータ分析による、人材採用の勢いを測定したTOP Startupsランキングにおいて、当社は3年連続ランクインしております。これまでも当社グループのミッションである「AIを用いた社会課題解決を通じて、幸せな社会を実現する」に共感してもらえるエンジニアを多数獲得してまいりましたが、引き続きエンジニアの働きやすい、また働きがいのある環境を整えることを通じて、優秀な人材の獲得を目指します。


③ ビジネス・ドメインの深い理解に基づいたソリューション設計

 顧客企業でのAI活用と事業成果の創出を支援するにあたっては、高度なアルゴリズムの技術力と同時に、広範かつ的確なビジネス理解と提案力が必要となります。当社グループでは、多くの大企業に対し経営コンサルティングを行ってきた人材や、特定の業界・業務に精通したエキスパートを採用し、これらの人材が企業の課題について事業構造を踏まえて的確に認識し、実際に業務にAIを導入し成果に結びつけるところまで顧客と並走することで、高いレベルでの顧客企業のデジタル化・AI化を促進しております。


④ 多様な企業への豊富なAI実装経験

 当社グループでは、高度なビジネス理解及び提案力と、蓄積されたAIモデルに基づき、様々な業界内における主要企業とともに、当該産業における重要な課題に対峙するAIプラットフォームを実装しております。

 日本企業におけるAIの活用は概念実証の段階に留まる事例が多い中、当社グループは顧客の事業活動の現場業務への実装経験を豊富に有しており、これらのノウハウの蓄積から様々な派生的な事業展開が可能な体制を構築しております。


⑤ 顧客企業との実証を通じた継続的な新規プロダクト創出の仕組み

 当社グループでは、AIプラットフォーム事業において、多数の業界・分野でのAIアルゴリズムの開発・実装を行っております。顧客企業との協働による実装と運用の検証を通じて、業界・業務ごとのAI活用の方法や、それにより得られる効果、具体的なアルゴリズム等の数多くの知的財産を有しております。これらの知的財産や知見を活かすことで、AIプロダクト事業において、ゼロから新規にサービスを開発する場合と比較し、小さいコストで、十分な市場ニーズがありかつ付加価値の高いソフトウエアサービスを開発できる蓋然性を高めることができていると考えております。この仕組を活用することで、AIプロダクト事業においては今後も継続的に新規サービスを創出することができると考えております。


⑥ 戦略的な知財ライブラリーの拡張と活用

 当社グループでは、様々な事業領域において培ったノウハウを集積し、権利化すべきものについては戦略的に出願、登録しております。日本特許については、出願数124件、保有特許55件(2021年9月末時点)を様々な領域において有する一方、外国特許についても、国際特許を出願しポートフォリオを強化しつつ、年々保有件数を増加させています。2020年には、特許庁運営による知財コミュニティポータルサイト「IP BASE」が開催した、スタートアップ×知財のベストプレイヤーを表彰する「IP BASE AWARD」スタートアップ部門でグランプリを受賞しました。技術的卓越性の可視化と権利化を通じて競争優位性を高めるため、盤石な知財体制の構築を目指しております。


 【業績等】

業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益

(単独実績)2020.3 2,063 -467 -422 -469

(連結実績)2021.3 2,612 -508 -451 -592

(連結予想)2022.3 4,738 -180 -75 -95

(連結中間実績)2022.3 1,971 -329 -336 -388


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(連結予想)2022.3 -1.24 - 0

調達資金使途 採用費・人件費、ソフトウエア開発投資、研究開発費、マーケティング投資、運転資金、借入金の返済


上場時発行済み株数 79,308,000株 (別に潜在株式11,265,000株)

公開株数 32,407,200株(公募4,000,000株、売り出し25,607,200株、オーバーアロットメント2,800,000株)

 

募集を行う地域

欧州及びアジアを中心とする海外市場(ただし、米国及びカナダを除く。)


PER:

PSR:19.4

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:373億

公募時時価:912億

   

【株主構成】 

春田真 取締役会長 9,212,000 10.64 180日

古屋俊和 創業者 8,750,000 10.11 180日

(株)ベータカタリスト 役員らが議決権の過半数を所有する会社 8,685,000 10.03 180日

(株)INCJ ベンチャーキャピタル(ファンド) 6,891,400 7.96 90日・1.5倍

アイエスジーエス1号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 6,793,000 7.85 90日・1.5倍

D4V1号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 4,966,500 5.74 90日・1.5倍

坂根裕 取締役 4,720,000 5.45 180日

石山洸 代表取締役社長 4,184,000 4.83 180日

竹林洋一 特別利害関係者など 3,925,000 4.53 180日

浅谷学嗣 従業員(AIエンジニアリングフェロー) 1,900,000 2.19 180日

SOMPOホールディングス(株) 資本業務提携先 1,618,000 1.87 180日


 本募集及び引受人の買取引受による売出しに関し、貸株人かつ売出人である株式会社ベータカタリスト、売出人である春田真、古屋俊和、坂根裕、石山洸(戸籍名:鳴釜洸)、竹林洋一、SOMPOホールディングス株式会社、株式会社三菱UFJ銀行、粟生万琴、林光洋、株式会社キーラック、新貝康司、遠藤太一郎、代田淳平、藤城卓己及び山本剛、当社株主である株式会社ローランド・ベルガー、エクサウィザーズ従業員持株会、滝本賀年及び古家麻美他2名並びに当社新株予約権者である浅谷学嗣、大植択真、石野悟史、佐藤彰洋、長谷川大貴、羽間康至、前川知也、須藤健太郎、前川智明及び火浦俊彦他113名は、共同主幹事会社に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して180日目の2022年6月20日までの期間中は、共同主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式(潜在株式を含む。)及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等を行わない旨を約束しております。

 貸株人かつ売出人であるアイエスジーエス1号投資事業有限責任組合及びD4V1号投資事業有限責任組合、売出人である株式会社INCJ、Scrum Ventures Fund III LP、SMBCベンチャーキャピタル4号投資事業有限責任組合、IDATEN Ventures1号投資事業有限責任組合及びSMBCベンチャーキャピタル6号投資事業有限責任組合並びに当社株主であるSUMISEI-SBI投資事業有限責任組合は、共同主幹事会社に対して、本募集及び引受人の買取引受による売出しに係る元引受契約締結日に始まり、上場(売買開始)日から起算して90日目の2022年3月22日までの期間中は、共同主幹事会社の事前の書面による承諾を受けることなく、元引受契約締結日に自己の計算で保有する当社普通株式及び当社普通株式を取得する権利を有する有価証券の発行、譲渡又は売却等(ただし、その売却価格が募集における発行価格又は売出しにおける売出価格の1.5倍以上であって、SMBC日興証券株式会社を通して行う東京証券取引所での売却等は除く。)を行わない旨を約束しております。

 

【代表者】

代表者名 石山 洸(上場時39歳10カ月)/1982年生

本店所在地 東京都港区東新橋

設立年 2016年

従業員数 233人 (10/31現在)(平均35.4歳、年収814.5万円)、連結310人

株主数 51人 (目論見書より)

資本金 100,000,000円 (11/18現在)

代表者生年月日 1982年02月03日生まれ

代表者略歴

2006年04月 (株)リクルート入社

2014年04月 (株)リクルートホールディングスR&D本部メディアテクノロジーラボ 室長

2015年04月 同社R&D本部 Recruit Institute of Technology推進室 室長

2017年03月 デジタルセンセーション(株) 取締役

2017年04月 国立大学法人静岡大学 客員教授

2017年10月 当社 代表取締役社長(現任)

2018年04月 国立大学法人東京大学未来ビジョン研 究センター 客員准教授(現任)


【幹事団】

主幹事証券 SMBC日興 - -

主幹事証券 三菱UFJモルガン・スタンレー - -

引受証券 大和 - -

引受証券 みずほ - -

引受証券 SBI - -

引受証券 楽天 - -


【参考類似企業】今期予想PER(12/2)

2158  FRONTEO 109.3倍(連結予想 )

3906  ALBERT 69.0倍(単独予想 )

3993  PKSHA 265.7倍(連結予想 )

4052  フィーチャ 290.9倍(連結予想 )

4056  ニューラル 2,773.8倍(連結予想 )

4382  HEROZ 336.3倍(単独予想 )

4425  Kudan -倍(連結予想 )

7046  TDSE 35.8倍(単独予想 )


【私見】

 頭脳派AIベンチャーで、海外売出しもあり業種妙味はあります。売上の伸びが非常に良いことは評価できますが、赤字幅は小さくなってきたものの赤字はマイナス評価です。VCは多いものの、1.5倍ロックにはなっているので、1短期的には問題ないかと思います。海外配分はあるものの、吸収金額・時価総額共に大きいので評価は難しいのですが、PSR20近くの公募価額が妥当で小幅な上昇と予想します。


想定価額:1050円

仮条件上限:1150円

初値予想:1200円

ブック申し込み度・・・中立

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価3.5

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