2021年12月13日月曜日

IPO分析(セキュア)

 【事業内容】

  当社グループは、2010年10月に入退室管理システムおよび監視カメラシステムの本格販売を開始して以降、入退室管理システム、監視カメラシステムを中心としたセキュリティシステム構築における最適化を柱に着実に事業規模を拡大してまいりました。

 当社グループでは「SECURE AC(=Access Control:入退室管理システム)」「SECURE VS(=Video Surveillance:監視カメラシステム)」「SECURE Analytics(画像解析サービス)」という3つのサービスを各社のニーズに合ったデバイスとソフトウェアを組み合わせてワンストップで提供することで中小企業から大企業まで幅広い顧客(2021年9月末時点で6,398社)へ販売しております。また入退室管理システムにおける顔認証システムや、監視カメラシステムの一部サービスにはAI(画像認識)の技術を使用しており、当社グループではデバイスとの組み合わせで最適なAIアルゴリズムを外部から調達しAIの実装を含めたシステム構築、導入・施工、アフターフォローまでの一気通貫したソリューションを提供しております。また当社グループでは、2010年にBtoB事業に転換した時からAI(画像認識)技術を監視カメラ等の物理セキュリティシステムに実装し最適化して提供する研究開発を行っており、システム構築の最適化と掛け合わされることでAI(画像認識)の運用効果を高め、より付加価値の高いサービスとして提供することが可能となっております。

 例えば、顔認証や人物の行動分析などを行うことにより、犯罪の早期発見や予知などに役立てることが可能となるように、こうしたAI(画像認識)技術を実装した物理セキュリティシステムは、防犯の高度化を追求する一方で、単なる防犯という意味のセキュリティのみならず、業務の分析やマーケティングリサーチ、店舗におけるレジ等の省力化、イベント会場等での本人確認など、セキュリティ以外の様々な分野に応用が可能であり、当社グループでは、こうした顧客の多様なニーズに合わせて最適化したソリューションとして提供しております。

 また、物理セキュリティシステム導入にかかる一連のソリューションを一気通貫で提供できることが大きな強みであり、多くのエンドユーザーやパートナー企業の皆さまより信認を得ているものと考えております。今後も、従来からの当社グループの強みである前述のサービスに顔認証、人の行動分析、人検出、群衆解析のテクノロジーを付加し、物理セキュリティシステムとAI(画像認識)技術を掛け合わせた「安心」「安全」とプラスアルファの価値を提供することにより、顧客企業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の取組みを積極的にサポートすることを通じて、広く社会に貢献してまいります。


(1)当社グループの事業の特徴

①優れた研究開発力

 「Security System Lab」と「SECURE AI STORE LAB」という2つのラボ(研究開発施設)と、韓国京畿道城南市に「SECURE KOREA, Inc.」を保有し、AI(画像認識)技術と物理セキュリティを掛け合わせたシステムの価値を向上させるための研究開発を行なっております。


a 「Security System Lab」(最適化に向けたシステム研究)

 物理セキュリティシステムは、それぞれメーカーの違う多数のセキュリティデバイスやソフトウェア・サーバー・ネットワーク機器を用いて構成される非常に複雑なシステムです。また、設置するためにはITネットワークの設計だけでなく、建築・施工のノウハウも必要となります。さらに、物理セキュリティシステムを導入する際に適したデバイスの選定やシステムへのAI(画像認識)の実装方法は、非常に幅広い分野のテクニカルスキル・ノウハウを要し、デバイスの設置位置や設定方法ひとつで認証精度は大きく変化します。

 当社グループの「Security System Lab」では、無数にある物理セキュリティシステムの構築パターンから、顧客が求めるパフォーマンス・安定性・コストなどを考慮の上で最適化されたシステムの研究に取組んでおります。これらの研究開発の成果を最大限に発揮できるデバイスと組み合わせることにより、多様な顧客ニーズに対応可能な最適化されたセキュリティシステムの構築が可能となっております。AI(画像認識)を活用するサービス(顔認証による入退室管理システムおよびVSの一部サービス)においては、顧客のニーズに合ったAIアルゴリズムの性能・コスト・安定性を考慮・研究・評価し、それを搭載するのに最適なデバイスを選定した上でこれらを調達⇒AIを実装したアプリケーション開発を行っております。また同時に、こうした最適化されたセキュリティシステムを物理セキュリティシステム導入にかかる一連のソリューションとして提案できる専門人材の育成についても本Labにて実施しております。


b 「SECURE AI STORE LAB(無人店舗)」(さらなるAI(画像認識)活用方法の研究)

 当社グループの入退室管理システムと監視カメラシステムを応用することで、顔認証によって手ぶらで買物ができる次世代型無人化店舗の実験運用を行っております。

 当該AIの開発にあたっては、無人化店舗が実際に利用されるロケーションにて獲得されたデータを基に学習させる必要があります。

 当社グループの「SECURE AI STORE LAB」では、実験運用を行うことで獲得するデータ等を基に実際のリテールのシーンで活用可能なAIの開発のみならず、リテール企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)のための商品開発にも取組んでおります。

 

c 「SECURE KOREA, Inc.」(新たなサービスの開発)

 グローバルな視点における顔認証技術に関する最先端かつ高度な知識と経験を有する技術者を配置して、当社グループの技術を活用した新たなサービスの開発に取組んでおり、直近の研究開発内容としては「SECURE AI Office Base」が挙げられます。

 この「SECURE AI Office Base」は、AI(画像認識)を活用したクラウド型の入退室管理システムであり、既存のオンプレミス型入退室管理システムにはなかったリモートによるオフィスの入退室状況・混雑状況の把握や従業員の出退勤および在籍管理・健康管理(体温・表情等)までを一元的に管理できる新システムで、2020年9月よりサービスの提供を開始いたしました。


②顔認証などのAI(画像認識)技術の最適化

 AI(画像認識)の代表的な技術である顔認証技術をカメラ等の多数の物理的なデバイスにおいて最適化することで、特定の人物の特徴を分析して映像から顔を検出し、属性の分析を行い、その結果をリアルタイムに通知することで様々なソリューションを提供しております。なお、当社グループで取り扱っている顔認証のソリューションは、ビジュアルベース(2D認証)とIRベース(3D認証)の2つの方式を採用しています。

 当社グループでは、こうした顔認証に用いるアルゴリズムを外部から調達・選択し、最適化した上で物理セキュリティシステムに実装することで、より高い付加価値のあるセキュリティシステムとして提供しています。その結果、AI顔認証関連の商品はライセンス・デバイスを合わせて2021年9月末時点で5,190件(うちライセンスは約34%程度)の導入実績があり、入退室管理用途の顔認証シェアは2019年実績で28.8%、2020年見込で37.7%(数量ベース)となっております。


③顧客ニーズに合わせた付加価値の高いサービスの提供

 単一的なサービスの提供に限らず、顧客の多様なニーズに沿った付加価値の高いサービスを提供することが可能となっております。例えば、入退室管理システムの導入においては、顔認証による扉の施錠管理のみならず、扉の開閉に連動した勤怠管理や、顔認証による測温等の健康管理、監視カメラシステムと連動したオフィスの混雑度の見える化など、物理セキュリティシステムの導入に係る顧客ニーズを解決するための一連のソリューションとして提供することが可能となっているため、その結果として多くの中小企業から大企業に至るまで、幅広い顧客層から選ばれているものと考えております。

 

④販売パートナーとの連携

 当社が直接エンドユーザーに接触する直販のみならず、2021年9月末時点において211社の販売パートナー(代理店)企業を有しており、これらの販売パートナーが有する顧客基盤に対しての代理販売を展開していることも大きな特徴であり、販売パートナー経由での売上比率は約9割を占めております。

 オフィスデザイン会社・警備会社・OA機器販売会社等、企業におけるオフィス移転などの情報を瞬時に感知できる業種を中心に幅広い販売パートナー網を構築することにより、迅速かつ広範な需要の発掘と提案機会の拡大、迅速なソリューションの提案と高い競争優位性を確保することが可能となっております。

 主な販売先は綜合警備保障、JVCケンウッドなど。

【業績等】

業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益

(単独実績)2019.12 1,717 -49 -56 -47

(連結実績)2020.12 2,790 35 27 33

(連結予想)2021.12 3,380 150 142 126

(連結3Q累計実績)2021.12 2,505 135 130 108


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(連結予想)2021.12 30.48 - 0

調達資金使途 採用費・人件費・教育費、研究開発費、広告宣伝費


上場時発行済み株数 4,590,620株 (別に潜在株式259,500株)

公開株数 769,300株(公募449,000株、売り出し220,000株、オーバーアロットメント100,300株)


PER:34.4

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:8.1億

公募時時価:46億

    

【株主構成】 

(同)LYON 役員らが議決権の過半数を所有する会社 1,339,500 30.44 180日

谷口辰成 代表取締役社長 495,000 11.25 180日

谷口喆成 代表取締役社長の血族、従業員 451,500 10.26 180日

谷口才成 代表取締役社長の血族、従業員、子会社の役員 450,000 10.22 180日

CBC(株) 取引先 228,000 5.18 180日

グローバル・タイガー・ファンド3号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 217,620 4.94 90日・1.5倍

(株)ブロードバンドタワー 特別利害関係者など 150,000 3.41 180日

i-nest1号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 150,000 3.41 90日・1.5倍

(株)東邦銀行 特別利害関係者など 120,000 2.73 180日

(株)KAWASHIMA 特別利害関係者など 120,000 2.73 180日


 【代表者】

代表者名 谷口 辰成(上場時45歳2カ月)/1976年生

本店所在地 東京都新宿区西新宿

設立年 2002年

従業員数 95人 (10/31現在)(平均38.2歳、年収556.1万円)、連結99人

株主数 17人 (目論見書より)

資本金 294,000,000円 (11/22現在)

代表者生年月日 1976年10月14日生まれ

代表者略歴 

1999年04月        (株)ネクサス(現(株)ジェイ・コミュニケーション)入社

2000年10月        (株)ジェイネクステル入社

2002年10月        当社設立 代表取締役(現任)

2014年08月        (同)YON設立 代表社員(現任)


【幹事団】

主幹事証券 SMBC日興 609,200 91.06

引受証券 みずほ 33,400 4.99

引受証券 SBI 6,600 0.99

引受証券 楽天 6,600 0.99

引受証券 いちよし 6,600 0.99

引受証券 東海東京 6,600 0.99


【参考類似企業】

4379  フォトシンス -倍(連結予想 )


【私見】

 入退室管理システムと監視カメラシステムで、フォトシンス同様に競合が多く評価されるかが微妙ですが、顧客基盤は綜合警備保障など安定し優位性は感じます。売上の伸びも良く、今後順当に利益は伸びるのではないかと思います。吸収金額も小さく、既存株主にもロックはかかっていることから初値段階で人気化する可能性は高いと予想します。


想定価額:870円

仮条件上限:950円

初値予想:2500円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・中立

総合評価4

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