2021年12月7日火曜日

IPO分析(湖北工業)

 【事業内容】

(1) 当社グループの事業内容について

 主な事業は、リード端子事業(アルミ電解コンデンサ用リード端子の製造・販売)、光部品・デバイス事業(光ファイバ通信網用光部品の製造・販売等)であり、各事業の内容は以下のとおりであります。

 当社は、リード端子の製造・販売を国内顧客向けに行っており、光部品・デバイスの製造・販売を国内顧客及び海外顧客向けに行っております。

 

(2) 各セグメントの事業内容について

① リード端子事業

 リード端子事業は、生活家電・情報通信機器・自動車等の、内部に電子基板を持つ製品に搭載されるアルミ電解コンデンサの主要構成部品であるリード端子の製造販売を行っております。1959年の設立当初からの創業事業であり、今日では当社グループ全体で年間400億個余りを生産し、主要アルミ電解コンデンサメーカーへの供給を行っております。


ⅰ. 創業当初から、主要生産設備である溶接・プレス機を自社開発しております。また、1980年代後半には、アルミ電解コンデンサの特性と品質の向上、製造工程の生産性向上のため、洗浄・化成工程並びに洗浄・化成装置を開発致しました。その後も車載用途等の顧客からの要求事項に対応し、溶接・プレス機、洗浄・化成装置並びに各製造工程におけるノウハウの更新・改良を実施しております。


ⅱ. アルミ電解コンデンサの更なる特性向上と品質向上に寄与するため、次のような技術開発を行ってまいりました。これらはいずれも国際特許にて保護されております。


①   アルミ電解コンデンサの構成部品であるアルミ箔や電解紙(セパレータ)の破損を防止するため、プレス工程を改善し、突起物等の発生を抑制する技術(ノーバリ技術)を開発しました。

②   リード端子の表面に発生し、アルミ電解コンデンサの破損の原因となるウィスカ(金属結晶が針状に成長する現象)を抑制するため、樹脂コーティング技術を開発しました。

③   アルミ電解コンデンサのスリーブ破損と封口ゴム破損対策のため、Cp線の先端を丸目状に加工する技術を開発しました。


ⅲ. 創業当初から、主要アルミ電解コンデンサメーカーの工場拠点に近い立地での生産を進めてまいりました。特に日系アルミ電解コンデンサメーカーのASEAN地域、中国等への海外進出に呼応し、マレーシア、中国・東莞、中国・蘇州の3拠点に子会社を設立して生産を行っております。各生産拠点においては、同一設備、同一生産方法で生産を行うと共に、BCP(事業継続計画)に対応する体制を構築しており、長きに亘り安定供給を継続しております。


ⅳ. 主要顧客との営業、技術・品質指導及び会議を通じ、製造工程における生産技術や品質管理の強化等のレベルアップを図っております。国際規格のISO9001、ISO14001に加え、自動車産業に特化した国際規格であるIATF 16949をグローバルで認証取得しています。


ⅴ. ネットワーク機器向けについては、スマートフォンの普及による通信基地局の大容量化(4G及び次世代5G無線通信用)に伴う使用数の増加、サーバー増強等に伴う使用数の増加、スマートフォン等向けのモバイルチャージャーの高性能化等により、出荷数が増加しております。

 近年において、成長市場とされる車載用途やネットワーク機器用途のアルミ電解コンデンサは、使用環境が厳しい上に耐久性も求められるため、当社グループでは高い品質と信頼性の確立を企図し、量産技術の確立や品質管理の徹底を行うことにより、競合他社との差別化を図っております。

 当社のリード端子が使用されるアルミ電解コンデンサの主な用途として、テレビ、パソコン、ゲーム機、エアコン、洗濯機、自動車、太陽光発電機器等が挙げられます。


 ② 光部品・デバイス事業

 光部品・デバイス事業は、今日の情報通信に欠かせない光ファイバ通信の機器や光モジュールに使用される「光部品(FA製品)」及び「光デバイス(YD製品)」を製造販売しており、特に1955年より高信頼性(水深6,000メートルの海底で25年間故障せず機能し続けること)が要求される光アイソレータの製造販売に携わっております。

ⅰ. 当社グループが製造販売する光部品・光デバイスは、長年培ってきた精密形状の石英ガラスの製造技術及び磁気光学材料の製造技術等のノウハウに基づく素子づくり、並びに光ファイバの高精度整列技術及び光学部品の高精度インテグラル(すり合わせ)技術に基づく精密組立の一貫生産を強みとし、競合他社との差別化を図っております。


ⅱ. 光デバイスにおいては、当社のファラデーローテータ(磁気光学材料)の応用製品として光アイソレータを開発し、関連した光フィルタ等と共に主に海底ケーブル向けに製造販売しております。海底ケーブル向け光アイソレータは、高信頼性(100万時間あたりの故障率が0.01%以下)が特長であり、海底ケーブルの通信手法が旧来の方式(光信号を電気信号に変換・増幅する方式)から現在の方式(光信号を増幅する方式)へと移り変わる最中であった1995年に販売を開始して以来、25年以上の実績があります。また、海底ケーブルの高速大容量化を実現する波長多重化および空間多重化のプラットフォーム開発に係わり、新たな光フィルタ等の製品も製造販売・開発しております。


ⅲ. 今日においては、移動体通信の大容量化、データセンタの大規模化等による世界的な情報通信量の増加に伴い、海底ケーブルの投資や敷設が増加しており、光アイソレータ等の安定供給のために、国内とスリランカとの拠点間の垂直分業(磁気光学材料づくりと精密組立との分業)による一貫生産の体制をさらに強化しております。


ⅳ.光部品においては、高速光ファイバ通信を担う波長可変レーザ(ITLA)や光受信回路(ICR)用途に2008年頃から進出し、当社の精密形状の石英ガラスを用いた光部品(FA製品)が光モジュールの大手メーカーに採用されており、供給者としての関係を堅持しています。また近年の世界的な光ファイバ通信の投資と増設に牽引された大手光モジュールメーカーの増産に対応し、中国・蘇州とスリランカとの拠点間の水平分業、国内と海外拠点との垂直分業(精密形状石英ガラスづくりと高精度配列との分業)することで、顧客が要求する数量・納期に柔軟な対応を可能とする光部品(FA製品)の製造販売体制を構築しております。

 

【業績等】

業績動向(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益

(連結実績)2019.12 9,979 1,480 1,360 524

(連結実績)2020.12 11,176 2,577 2,357 1,562

(連結予想)2021.12 13,963 3,640 3,770 2,661

(連結3Q累計実績)2021.12 10,669 3,191 3,391 2,221


1株当たりの数値(円) EPS BPS※ 配当

(連結予想)2021.12 365.45 -  - 

調達資金使途 設備投資


上場時発行済み株数 9,000,000株 (別に潜在株式166,700株)

公開株数 2,990,000株(公募1,600,000株、売り出し1,000,000株、オーバーアロットメント390,000株)

シンジケート 公開株数2,600,000株 


PER:10.5

PBR:

配当利回り:

公募時吸い上げ資金:115億

公募時時価:346億

    


【株主構成】以下90日(持ち株会は180日)

石井太 代表取締役社長 7,110,000 96.12

湖北工業従業員持株会 特別利害関係者など 120,000 1.62

北川一清 常務取締役執行役員 19,100 0.26

国友啓行 取締役執行役員 17,200 0.23

加藤隆司 常務取締役執行役員 17,200 0.23

荒木治人 取締役執行役員 17,200 0.23

鈴木基司 取締役執行役員 17,200 0.23

高原誠 上席執行役員 17,200 0.23

山田大元 執行役員 17,200 0.23

山崎学 上席執行役員 17,200 0.23

山下真弘 執行役員 17,200 0.23


  本募集並びに引受人の買取引受による売出しに関連して、売出人及び貸株人である石井太、当社株主であるアイエフマネジメント株式会社並びに当社の新株予約権者である北川一清、国友啓行、加藤隆司、荒木治人、鈴木基司、髙原誠、山田大元、山﨑学、山下真弘及び和田敏雅は、主幹事会社に対し元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後90日目の2022年3月20日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等(ただし、引受人の買取引受による売出し、オーバーアロットメントによる売出しのために当社普通株式を貸し渡すこと及びグリーンシューオプションの対象となる当社普通株式を主幹事会社が取得すること等は除く。)を行わない旨合意しております。

 当社の株主である湖北工業従業員持株会は、主幹事会社に対し、元引受契約締結日から上場(売買開始)日(当日を含む)後180日目の2022年6月18日までの期間中、主幹事会社の事前の書面による同意なしには、当社普通株式の売却等を行わない旨合意しております。

 

【代表者】

代表者名 石井 太(上場時63歳4カ月)/1958年生

本店所在地 滋賀県長浜市高月町

設立年 1959年

従業員数 160人 (10/31現在)(平均44.5歳、年収666.7万円)、連結1617人

株主数 3人 (目論見書より)

資本金 350,000,000円 (11/16現在)


代表者生年月日 1958年08月21日生まれ

代表者略歴

1981年04月 日本鉱業(株)(現 JX金属(株))入社

1995年04月 当社入社

1999年03月 当社代表取締役副社長

2000年03月 当社代表取締役社長(現任) 10月:KOHOKU ELECTRONICS (S) PTE.LTD. Director

2001年04月 KOHOKU ELECTRONICS (S) PTE.LTD. Managing Director(現任) KOHOKU ELECTRONICS (M) SDN.BHD. Managing Director

2002年06月 蘇州瑚北光電子有限公司董事長(現任)

2005年02月 湖北電子工業協同組合代表理事

2012年10月 KOHOKU ELECTRONICS (M) SDN.BHD. Chairman(現任)  10月:東莞瑚北電子有限公司董事長(現任)


【幹事団】

主幹事証券 野村 - -

引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー - -

引受証券 SMBC日興 - -

引受証券 SBI - -

引受証券 西村 - -

引受証券 丸三 - -

引受証券 あかつき - -


【参考類似企業】今期予想PER(11/26)

00001 米ルメンタム 14.0倍(連結予想 )

5208  有沢製 11.7倍(連結予想 )

6521  オキサイド 81.6倍(単独予想 )

6613  QDレーザ -倍(単独予想 )

6777  santec 14.6倍(連結予想 )

6810  マクセル 11.7倍(連結予想 )

6834  精工技研 14.4倍(連結予想 )

6863  ニレコ 13.3倍(連結予想 )

6961  エンプラス 10.6倍(連結予想 )

7713  シグマ光機 15.2倍(連結予想 )

7769  リズム 22.1倍(連結予想 )


【私見】

 海底ケーブル用光部品の世界最大手で、業種としては地味ですがグローバルな会社で非常に面白いです。利益も5割増で毎期伸びており、規模的にも東証1部であれば更に良かったのかとも思います。VCなしで完全ロックなので需給の不安もなく、規模は非常に大きいですが、機関も好みそうな銘柄で中期で期待したい銘柄です。


想定価額:3840円

仮条件上限:3840円

初値予想:5000円

ブック申し込み度・・・強気

セカンダリー期待度・・・やや強気(中期)

総合評価4

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